Tour De Corse Historic 2002 参戦記

October 2002Posted by czr

Tour De Corse Historic 2002 参戦記

R8G、アルピーヌA110、ルノー5ターボの愛好家にとってWRCの場面でツールドコルスと言う言葉は心が踊ります。特にフランス車の優勝回数が多い ツールドコルスは、私にとって一度は走って見たいと想わせる場所です。そんな夢を長年抱いていた私にCG編集長加藤哲也氏から突然の電話で「コルシカへい きませんか」との誘いでした、さらに「エリック・コマス氏率いるヒストリック・レーシングチームのアルピーヌA110で走ってください」とその言葉は夢と 現実が一度に襲ってきたようで私の心はパニック状態、しかし現実は仕事への心配が重く肩に圧し掛かりその板ばさみに気持ちが錯綜しましたが、気がついた 時、既に「行きます」と返事をしていました。その後は仕事に準備にと忙しい日々を送り10月12日、緊張のまま日本を出発したのです。


マルセイユの港にて

シャルルドゴール空港からエアーフランスに乗り換えマルセイユに夜遅く遂に到着です。翌日午後3時フェリー埠頭に時間どうりに到着、誰も見当たらず、不安に待っていると親しげな笑顔でエリック・コマス氏が現れ、アルピーヌまで案内されました。ゆっくりとした時間の流れはやはりラテン系のそれであった事を思い出しやっと安心できました。 さて、出発の埠頭にぞくぞく集って来る車には73年ポルシェ911カレラ、ダットサンSRL311、アルピーヌA110が合計7台その他シトロエンDS、NSU、ランチャ・・・さすがヨーロッパです各国のヒストリック車が集結、勿論フランスの国産車が多数集結し、国際的な雰囲気です、その中で特に私に感動を与えたの日本のダットサンSRが参加していることでした、日本では外国車と国産車を区別しがちです、これは実に陳腐な現象でないでしょうか。また、参加者の多くは40代以上の人達です。それはそれはタフで若者のごとくぶっ飛んでいきます。当然の事ながら、その瞬間から青春に戻ってハンドルを握るその顔は少年のそれを彷彿とさせ、車の歴史と文化の違いをまざまざと見せつけられます。 夜の7時に車はフェリーに乗船、オレンジ色に照らされたマルセイユの古い港を見ながらの船中でのデイナーが始まり、食後はラリーの説明と関係者の紹介等、緊張と不安を乗せ船は地中海を一路コルシカへと静かに滑り出します。これまで私は数度四国のブルーアイランドラリーに参加しています、神戸から夜10時に出航するフェリーに乗り、イルミネーシションに照らされるポンテペルレを眺めながら我々のチームのヒストリックラリー車を載せた船が瀬戸内海を一路四国松山に向かう姿とオーバーラップします。


October 2002
はるばる日本からにこのイベントに参加、いざスタート。

さて、夜明けと共にコルシカのバスチアの港に到着、スタート地点まで移動し、古く由緒のある酒屋で受け付け済せた後、ゼッケンを張る準備にかかります。エリック氏は自らゼッケンの位置を決め、あたかも自分の娘の出番にあたり父親が身だしなみを整えるがごとく一台一台のアルピーヌA110に丁寧にゼッケンを張っている姿はいかに彼がアルピーヌを愛しているか、同じ思いを抱く私にとって理解できるものでした。


一台一台のアルピーヌA110に丁寧にゼッケンを張っているコマス

さて、ヨーロッパのラリーに初参加の私のスタートです、学生時代に日本のラリーを経験した私には区間毎の指示速度をクリアーしていくタイムラリーを想像していましたが全く規定が違い、コドライバーのCGの高平氏に指導を受けながら第一日のステージを終了、それは比較的簡単なシステムですぐ理解出来ました。さらなる困難は言葉です、数字も注意事項もすべてフランス語で、ラリーの後は楽しいデイナーとなるわけですが言葉が上手く出来ない事への不便さを味わう事になり、ニコニコ笑顔を振舞う毎日となりました。ナポレオンの生誕の地、コルシカ島は高い山々、深い谷間、断崖絶壁、透き通るような紺碧の海、険しい山肌にある村、真っ赤に染まる木々の葉,高い山は雪を頂き、道には栗が絨毯のごとく落ち、そんな景色の中、私は一番の恋人アルピーヌで駆け抜ける、こんな幸せが今まであったでしょうか、至福の一時とも言える4日間です。ラリーのフィニッシュをアジャクシオで迎え、私の初の海外ラリー参加は終焉を迎えます。


サービスポイントでのコマスと筆者。
バックに写っている今回同行したサービスカーにもいたく感激!


筆者のドライブでツールドコルスのコースを行くA110

アルピーヌに夢中になってよりいつか叶えたいと思い描いた夢、そして沢山の想い出を胸に日本への帰国となりました、55歳になる私にとって大きな想い出となったツールドコルスヒストリックの機会を与えていただきましたCG編集長の加藤哲也様、高平高輝様、編集部の皆々様、またコマス・ヒストリック・レーシングのメカニックやスタッフの方々、エリックコマス様、奥様のブルネラ様、そしてエリックコマスのお父上に心から感謝いたします。


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