RALLYE MONTE CARLO HISTORIQUE 2003

February, 2003Posted by czr

'03 RALLYE MONTE-CARLO HISTORIQUE 参戦記
2003年2月1日~5日にモナコ~フランスで開催された'03 RALLYE MONTE-CARLO HISTORIQUEに、会長の加藤仁先生とともに参戦してきましたので報告します。

 昨秋、仁先生にCAR GRAPHICから声がかかり、元F1・昨年までニッサンワークス:NISMOのGTドライバー('98、'99年のGT500クラスシリーズチャンピオン)のフランス人:エリック・コマス(以下E.コマス)さん率いる「COMAS HISTORICRACING(以下CHR)」というチームのワークスカー:ルノーアルピーヌA110 1600Sのうちの1台に乗って「RALLYE TOUR DE CORSE HISTORIQUE」に出場した(CG '03年1月号参照)関係から、E.コマスさんと当クラブのつながりが出来ました。

E.コマスさんは、先日TOM'Sへの移籍が発表され、今年も全日本GT選手権GT500クラスにスープラで参戦する現役バリバリのレーシングドライバーですが、実は筋金入りのエンスージアストでもあり、ヒストリックカー大好きで、とりわけアルピーヌA110フリークなのです。CHRはそんなE.コマスさんが昨年、趣味とビジネスを兼ねて,ルノーのコレクション&ヒストリック部門によるオフィシャルサポートも受けて興したチーム(・・というか、会社:http://www.erikcomas.com)で、例えば ヒストリック・イベントには出たいけど自分でエントリーや車輌の準備をする暇がなかったり、競技中のメンテナンスやトラブルが不安だという人のために、A110を始めとしたヒストリック-コンペティションカーをレンタルし、同時にエントリーから競技終了までの諸手続き、宿泊、車輌のメンテナンス等すべてフォローしてくれるというものです。CHRのワークスカーは4台のグッドコンディションのアルピーヌA110 1600Sが揃えてあり、他にもランチャ・ストラトスやポルシェ911カレラ等もあるらしいです。

 そして、そのE.コマスさんが探していたA110の本物の元ワークスカー('73モンテカルロ・ラリーで現トヨタF1代表のオベ・アンダーソン氏がドライブして2位になったクルマそのもの・・・結局E.コマスさんが買い、今回のモンテ-ヒストリックで5台目のワークスカーとして自らドライブした)が、なんと名古屋の「Raccoon Auto」という、ルノー5ターボ等、変な(失礼!)ルノーを得意として扱っているお店にあったのですが、E.コマスさんがそのクルマを昨年11月中旬のGT選手権最終戦出場のため鈴鹿入りする木曜午後に名古屋に寄って見に行きたいという話になり、ボクが偶々午後休診で時間がとれ、Raccoon Autoの阿部さんとは古くからの知り合いだった事もあり、案内役を務める事になったのです。E.コマスさんなんて雲の上の人と思っていたのですが、会ってみると気さくな人で、A110ワークスカーの下回りを、手を真っ黒に汚して一生懸命チェックしている姿等、ボクの周りにはたくさんいるクルマ好きオジサン達となんら変わりません。ボクが名古屋駅まで、10年選手だけど結構大事にしている普段のアシ愛車:ルノー25で迎えに行ったらすごく喜んでくれ、結局最後は鈴鹿まで送り、夕食をごちそうになったのですが、その間ボクも長くモータースポーツをやっている事や旧いルノー等を好きな事をアピール?していたら(彼は日本語も少し話せるしフランス語通訳の日本人女性が付き添っている)、「今度、'03 2/1~5のRALLYE MONTE-CARLO HISTORIQUEで、ウチのワークスカー:アルピーヌA110 1600Sが後1台だけシートが空いています。 雪道を滑らせて走るのが好きで旧いルノーが好きなら適任なので、ムッシュ加藤と組んで是非乗って下さい。」と、あのE.コマスさんから直々に誘われてしまったのです。・・・これはもう舞い上がってしまいました。

 「RALLYE MONTE-CARLO HISTORIQUE」というイベントは、世界ラリー選手権(WRC)第1戦モンテカルロが開催された翌週に、あの有名なチュリニ峠を含む一部同じコースも使って開催されるヒストリックカー('55~'77年のモンテカルロ・ラリーに参加した車輌に類似したモデル)によるラリーで、主催クラブもWRCモンテ-と同じで、F1モナコGPも主催している伝統あるAUTOMOBILE CLUB DE MONACOであり、総走行距離は5日間。約2000km(なんとモダンカ-による本物モンテ-より多い)にもおよぶものです。 ボクは、小学1年の時に我が家が初めて買ったマイカー:中古の日野ルノー4CVのステアリングを握って?以来の正真正銘のルノーファンを自負しております。 そして、バンパー外したルノー4CVやコンテッサ900が現役で走っているレースを鈴鹿サーキットに見に行って以来のモータースポーツファンでもあり、'72年の終わり、18歳になるとすぐに高校の授業をサボって4輪の免許を取ってからは、ラリー、ダートトライアル~レースと自ら走る事も続けてきました。 そんなボクなので、'73年からメイクスタイトルがかかるようになった世界ラリー選手権(WRC)の初代チャンピオンカー:ルノーアルピーヌA110が疾走する雪のモンテカルロ・ラリーはまさに夢のシーンでした。そして、いつかは自分もモンテカルロ・ラリーに出たいという夢を持ち続けてきました。 しかし、歳もとってしまい本物のWRC第1戦モンテ-に出るのはチョットあきらめかけていましたが、このイベントは夢をかなえてくれるかも・・・と、家族や仕事、お金の事等チョット(かなり?)無理してでも、とにかく何とか(強引に?)段取りをつけて行くことにしてしまいました。で、結果は・・・無事完走しました!

我が家が初めて買ったマイカー 日野ルノー4CVと筆者  順位は完走290台中219位でしたが、スタート直後から少しエンジン不調でアシスタントチームに修理してもらうのにタイムロスしたり(その後はフィニッシュまで快調でした)、途中雪が深く前走車がスタックしてしまい通れなくなり、かなりの距離をミシュラン地図見ながら迂回したり・・・と、未知の世界だけに言い訳はいくらでもあります? とにかく、今年のモンテ-は事前の情報通り雪が多くたいへんハードでしたが、大きなトラブルもなく、完走出来て良かったです。 初日~2日目にかけてのMONACO~VALS LES BAINSのConcentration Legと、VALS LES BAINS~VALENCEのClassification Legは特にハードで、夜8時頃スタートして翌日お昼過ぎの3時頃ゴールするまでのぶっとーし約19時間、ほとんどが雪道を含む峠道の約850kmを1人でドライブしました。3日目のVALENCE~GAPの昼間のCommon Leg,part1=415kmは、主に仁先生がステアリングを握り、ドライはかなりのハイペースで飛ばし、雪道も確実に走破しました。 そして、4日目昼間GAP~MONACOのCommon Leg,part2=300kmも2人(仁先生たくさん)で無難に走破し、午後、無事MONACOに戻って来ました。 そしていよいよその夜が、あのチュリニ峠を走るMONACO~MONACOのFinal Leg=360kmです。 ステアリングを任される予定のボクは、疲労もたまってきているので、夜のドライビングに備え夕食をパスして睡眠薬を飲んでとにかくホテルで仮眠する事としました。そして、夜8時過ぎ、いよいよ夢の最終章へのスタートが切られました。Col de Turiniの標識を見ながら峠道を快調に上り、だんだん雪が出てきたと思ったら突然目の前に、初めてなんだけど今までラリーのビデオで幾度となく見た事のある、あのチュリニ峠クランクコーナー本物!が現れました。 夜遅いのに結構観客が居ます。 長年愛読しているラリー雑誌によると、ここチュリニでは派手なドリフトを魅せたドライバーがヒーローになり、抑えた走りをするラリーマシンには容赦なく雪爆弾がぶつけられるという。ここで魅せなきゃ一生の恥!と、思わず右足に力が入りました・・・やったー!“チュリニ峠でカウンターをあてる”という長年の夢がかなったのです・・・疲れも眠気もすべて吹っ飛びました。 あこがれのアルピーヌA110のドライバーズシートからフロントウインドウ越しに、あのチュリニ峠のクランクコーナー本物!を見た瞬間は本当に感動しました。


サービスポイントでのA110 バックに写っている今回同行したサービスカーも感激もの


筆者のドライブでモンテカルロの雪上を行くA110

今回、我々がドライブした赤いA110:17号車は、'69年型1600Sで、なんでもかつてはアルピーヌ創立者ジャン・レデレ自身がデモカーに使っていた!クルマで、E.コマスさんが最初に手に入れた!A110でもあり、昨年のモンテ-ヒストリックでは、WRCモンテ-にルノー5ターボで優勝したり、5アルピーヌで2位入賞したこともある往年のルノーワークスラリードライバー:ジャン・ラニョッティーさんがドライブした!という由緒あるクルマだそうで、全く古さを感じさせないすばらしいコンディションでした。'03 RALLYE MONTE-CARLO HISTORIQUE は、期待通り夢をかなえてくれたイベントでした。 欲を言いだせば、トラブルがなかったらもう少し総合順位が上がったんじゃないかとか、あの時あの場所にカメラマンが居たならもっと手前からクルマの向きを変えてカッコ良く走れば良かったとか?・・・ 色々後で思う事はありますが、なんと言っても、ガードレールもない雪道も多く、結構多数の競技車がはまったり落ちたりしている中、2人とも大きなドライビングミスなく貴重なクルマを無傷でE.コマスさんに返すことが出来たのが良かったです(保険金も返ってくるそうだし)。


ゼッケン17番の'69年型1600S

仁先生は、ジムカーナ~レースのモータースポーツ歴も豊富で、フランス国内での運転経験も多く、運転もナビゲーションも信頼してお任せ出来ました。また、E.コマスさんおよびCOMAS HISTORIC RACING の企画に出会える事がなかったら、おそらくボクの夢をかなえる事は困難だったのではないかと思われ、仁先生、E.コマスさんとCHRスタッフのみなさまには感謝の念でいっぱいです。 このイベントは、ヒストリックだから・・・と、想像していたよりズッとハードで、あんな雪道を旧いクルマを全開で走りきる欧州のクルマ好きおじさん達の元気良さやレベルの高さには(なかにはポルシェなんか乗っててあまり上手じゃないって人もいましたが・・)カルチャーショックを受けた面もあります。仁先生の感想も「こりゃあそうとう上級者でないとあぶない!チョット行ってみたいというミーハーだけの人には勧めれんわ」というものでした。 実はボクは20代にダートラやっていた頃より、この歳になるまで毎年数回は長野県との県境付近まで(時には夜を徹して)、雪道を走りに行くトレーニング?(遊び)を続けてきていました。 クラシックカーレースしか出場の機会もなくなった最近は何か目的があるわけでもなく、ただ楽しいので雪道走行の遊びを続けていたのですが、今回のモンテ-で延々と続く雪道を無事(それも楽しみながら)走破出来たのも、この経験の成果が大きかったのではないかとも思っています・・・また、チョット自信が付いちゃったりして?・・・家族や職場には、一生に一度の事だからと、許しをもらって行ってきたけど ・・・“夢”の続きは、まだあるかも・・・  

PS : このところ体重が増えてしまい気にしていたのですが、競技がハードで食事も睡眠もあまりとれなくて走り続けたため、ゴール後なんと体重が5kg!減りました(最後にパリで日本食等一杯食べてチョット戻りましたが)。

report=CZR 副会長 鈴木 陽一郎

?
inserted by FC2 system